会員専用サイト
新規会員登録(入会のご案内)
東京公認心理師協会 会長 西脇 喜恵子
西脇 喜恵子

会長挨拶

未来を見据えた職能集団として東京に暮らす人のこころの健康を支えます

当会は設立30周年を過ぎ、次の10年に向けて歩みだしました。新型コロナウイルスのパンデミックを経て、私たちはつかみどころのない流動的であいまいな状況にあっても、溺れず波をとらえ、変容をおそれず、多様な価値観を見出し、そして、困難を生き抜くことを経験的に学んだように思います。災害や不安定な社会情勢がある中で未来予想図を描くのは簡単なことではありませんが、「今」というこのときを謙虚に真摯に丁寧に重ねていくことで、10年後の私たちは自ずとフォルムをなしていくのだろうと、ポストコロナ時代に入った今だからこそ、そんなことを考えます。

1993年に任意の職能団体「東京臨床心理士会」として誕生した当会は、2012年に一般社団法人化し、2019年からは「東京公認心理師協会」と名前を変えました。現在は、東京在住在勤の公認心理師と臨床心理士約5000名が所属しています。地方組織ながら、公認心理師と臨床心理士の両資格を包括する団体としては、全国でも最大規模へと発展しました。

ところで、当会が誕生した2年後、阪神・淡路大震災が発災した1995年は「心のケア」元年と位置づけられることがあります。「心はケアが必要なもの」で、そのために専門的な知識や技術を提供するのが心理専門職である。そんな認識が、社会全体に浸透するのにあわせ、私たちの活動の場も大きく広がってきたように思います。今では、教育領域におけるスクールカウンセラーをはじめ、医療・保健、福祉、産業、司法・矯正の各領域のほか、私設心理相談、災害有事の心理支援、ひきこもり家族支援など、フィールドは実に多岐にわたっています。
 そして、それらの活動や社会からの要請に呼応できるよう、当会には現在、13の委員会と4つのプロジェクト委員会が常設されています。各委員会を基盤としながら、市民向け電話相談窓口「こども相談室」、里親子を支援するサロン運営といった社会貢献活動のほか、心理支援を次世代につないでいけるよう公認心理師・臨床心理士を目指す大学院生のサポートにも力を注いでいます。

私たちの願いは、広く社会に、途切れることなく職能を還元していくことにあります。そのために、まずは会員相互が研鑚し、専門性やその質を担保しながら、 責任をもって心理支援にあたる必要があります。年間で約50回に及ぶ研修会や情報交換会の開催、法令や職業倫理を遵守するための関連規定の整備や勉強会、働き方に関する課題検討など、 当会が展開する事業は、会員のみならず、公認心理師、臨床心理士有資格者を下支えする基盤になると確信しています。
 また、近年では、災害やいじめ重大事態にかかる調査、自死予防、被害者支援、子どもの権利擁護など、自治体や関係機関から協力要請をいただく機会が増え、多機関・多職種で連携していくことも、 当会にとって、欠かせないものになっています。福島県外避難者の心のケア事業、福島県復興支援員設置事業、清瀬市教育相談室事業といった公的事業にも取り組む中で、地域社会にお役に立てる団体でありたいと意を強くしています。
 東京に暮らす皆様と手をたずさえ、次世代やその次に続く未来までを見据えながら、より一層の心理支援にあたってまいります。

2024年6月30日
会長 西脇喜恵子