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東京公認心理師協会 会長 西脇 喜恵子
西脇 喜恵子

会長挨拶

「こころ」を支え、安心安全な未来のためのインフラを目指します

1993年に任意の職能団体「東京臨床心理士会」として誕生した当会は、2012年に一般社団法人化しました。法人という人格を得てからの年数は、人に例えると中学生にあたり、子どもから大人へと移行する大事な時期を迎えていると実感します。
 当会は現在、東京在住在勤の公認心理師と臨床心理士、そして、資格取得を目指す大学院生の約5,000名が所属しています。地方組織ながら、公認心理師と臨床心理士の両資格を包含する団体としては、全国でも最大規模へと発展しました。

心理専門職の職能団体として、いつも胸にあるのは、私たちの専門性が社会で存分に活用していただけるよう、会員一人一人をバックアップすることはもとより、社会全体や心理専門職をめぐる「今」を見渡し、職能を次世代へ、そして、未来へつないでいきたいという思いです。
 言わずもがなですが、私たち心理専門職の強みの一つは、目に見えない「心」という存在に向き合い、言葉にならない声を聴き取る力です。しかし、「心」に触れることに没頭するあまり、ときに視野狭窄になっていないかと、ふと顔をあげるときがあります。遠くに目線をうつすと、社会にはたくさんのことがあふれかえっています。急速なデジタル化やAIの普及によるコミュニケーションスタイルの変容、相次ぐ自然災害、不安定な経済状況、少子高齢化をはじめ、一人の「心」を取り巻く環境は複雑さを増し、先行きを見通すことが難しい時代に入っています。そのような現代にあって、心理的課題は多様化や深刻化が進み、心理専門職に対する社会的なニーズと期待は、これまでになく高まっているとも感じます。公認心理師や臨床心理士は、単に個人の「心」に寄り添うだけでなく、社会全体のウェルビーイングを支える重要なインフラになっていくことが、今後ますます求められていくだろうと考えています。

社会からの要請にこたえるために、当会には現在、13の委員会と3つのプロジェクト委員会が常設されています。各委員会を基盤としながら、会員の資質向上を目指し研修会等を開催するほか、清瀬市教育相談室事業、福島県外避難者支援、中野区里親養育包括支援事業をはじめとする公的事業にも取り組んでいます。また、「災害時における心理的ケアに関する協力協定」を結んだ中央区の「総合防災訓練」に参加したり、市民向け電話相談窓口「こども相談室」を常設したりなど、地域に密着した活動にも力を入れています。そのほか、ストーカー等加害者への心理的アプローチに関する警視庁との連携、ここ数年、依頼が急増しているいじめ重大事態調査への第三者委員としての協力、子の引渡しの強制執行への同行協力など、その活動は実に多岐にわたります。

人も組織も生き物です。職能団体が、その力を最大限に発揮するためには、組織そのものが、身近で信頼できる確固たる存在である必要がありますが、一方で、そのときどきの社会課題に応じた柔軟な変化をおそれない姿勢も大切だと考えています。私たちにとって、そして、社会にとって今必要なものは何かを適時にとらえながら、一つ一つに丁寧に取り組むことが、私たちの専門性を次世代につなぎ、社会の大事なインフラとなることを信じています。
 皆様の声を聞かせいただきながら、未来に向けて新陳代謝を続ける開かれた組織であり続けたいと思います。今後ともご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

2026年6月21日
会長 西脇喜恵子